尾黒久美フォトブック「HESTER」 刊行記念ミニエキシビション

2021.11.06 – 2021.11.14

尾黒久美フォトブック「HESTER」 刊行記念ミニエキシビション

ARTDYNEはベルギー在住の写真家、尾黒久美の2冊目の作品集となるフォトブック「HESTER」の刊行を記念し、ミニエキシビションを開催いたします。


あれは2008年の冬だったか。尾黒久美の第一冊目の作品集、「NOISE」と出会った時の興奮を今も鮮明に覚えています。当時あった六本木の青山ブックセンターの中2階で何気なく手に取った写真集。ページを捲っていく毎にそのどうしようもなく魅力的な世界に引き込まれていきました。迷った末、ネットで連絡先を探し、どきどきしながらメールを送ったのが尾黒久美さんとの出会いでした。

その後、POETICSCAPEの柿島さんの協力を得て、彼女の個展「NOISE(2010)」および「CAPTIVE(2012)」を開催する機会に恵まれ、紆余曲折を得たあとに立ち上げた新ギャラリー「ARTDYNE」のこけら落とし展にも尾黒さんを選ばせていただきました。
今回のミニエキシビションが日本の皆さんと尾黒さんとの懸け橋となれば幸いに存じます。

ARTDYNE ディレクター 三木弘子

 

尾黒久美の新刊のフォトブック「HESTER」はジョン・アーヴィングの小説「オウエンのために祈りを」に登場する人物の名前である。自由で性的に奔放な女性、HESTERは同時に繊細さと深い愛情を持ち合わせている。尾黒久美の作品にはほぼすべてに女性が登場するが、彼女たちはヘスターの化身とも言える。

尾黒久美の作品は演劇的、映画的なダイナミックな構図と色彩を特徴とし、美しいがどこか不穏な空気感を内包している。そこに現れる女性たちは「写真の被写体としての美しい女性」という従来のステレオタイプイメージとは異なった、「へスター」という魔女的・超越的な存在として「私たちのすぐ隣の世界」にひそんでいる。

作家略歴

"wing" 2016 Lambda Print 430×430mm

1972年

宇都宮市生まれ
アントワープ大学映像研究及びヴィジュアル文化修了

主な展示

2021年

開廊記念2人展「尾黒久美・髙木優希展」/ARTDYNE/東京
“BREAK A LEG”: Performance-based & Constructed Imagery, アーカンソー

2017-18年

“Violence Silencieuse”(巡回・2人展)/NL=US Art/ロッテルダム、Pulchri Studioデン・ハーグ

2017年

個展“Several Shapes of Poison”/ AIP/アントワープ

2016-17年

“FotoFilmic ’16”/ロサンゼルス、メルボルン、バンクーバー

2016年

“THERE IS ONLY THE REAL”(2人展)/ IBASHO/アントワープ

2014年

個展 Galerie Albus Lux/ ローゼンダール

2012年

個展 Stieglitz19/アントワープ
個展 “Captive”/Surface/東京
個展 “Play”/POETIC SCAPE/東京

その他、ヨーロッパを中心に展示多数
コレクション:東京都写真美術館