いのちのしるし-The Sign of Life-
2024.03.16 – 2024.03.31
Yoshiko Seino "Falling Cockscomb Flowers, Odawara" 2006 C-print
日本橋茅場町の現代美術ギャラリー、ARTDYNEは2024年3月16日(土)から3月31日(日)まで、清野賀子・石場文子・辻響己、の3名による企画展「いのちのしるし-The Sign of Life-」を開催いたします。
この展覧会は、生前の清野賀子(1962-2009)と親交があった三木弘子(以後、私)の私的な想いによって企画されました。
清野賀子は1962年東京都に生まれ、1987年中央公論社に入社し「マリー・クレール」誌の編集者として活躍。1995年より川久保玲の勧めにより写真を本格的に始め、コム・デ・ギャルソン本店での個展(1996年)、ギャラリー小柳での個展(1999年)など、キャリアを積み重ねました。また、初作品集「THE SIGN OF LIFE(2002年)」、遺作となった2冊目の作品集「至るところで 心を集めよ 立っていよ」、それぞれが高い評価を得ています。
一方、私は1996年のある日、友人から渡された一枚の写真に心を奪われます。ヒマワリのイメージで埋め尽くされたコム・デ・ギャルソンのカード。この作品の制作者に会いたい一心でコム・デ・ギャルソンに連絡を取り、清野と私の交流が始まりました。しかし、十数年にわたる行き来は2009年の清野の突然の死去で終わりを告げます。
今展、私は清野賀子の「いのちのしるし」を石場文子と辻響己の両若手アーティストに託しました。石場文子の作品は、新たな視点の提示とその飄々とした作風で知られ、「見る(いきる)こと」に対する本質的な問題提起を行っています。一方、辻響己の作品に出現する「像」は崇高性を保ちながら鋭いまなざしを見る者にとどけ、鑑賞者は鑑賞物に見られることで自己の存在を再認識させられます。
清野の作品が静かに見守る中、石場文子・辻響己、各々のスタイルで生命の意味や存在の本質に対する洞察を行い、清野賀子が遺した深いメッセージを新たな視点で捉え直す機会になればとも思います。皆様のご来場を心よりお待ちしております。
※本展覧会の実現には、ギャラリートラックスの三好悦子氏、コレクターの大木俊明氏の協力を得ました。ここに深く感謝申し上げます。
ARTDYNE 三木弘子
アーティスト ステートメント
■今回展示のお話をいただき、私は「時間」をテーマにした作品を作りたいと思いました。朝起きて聴き慣れた曲をかけていつもよりテンポが早く感じると私はまだ頭が働いていないんだなと、世界より遅い時間にいる自分を認識します。秒針が一定の時間を刻んでもその時々の体調や気分で捉える時間は大きく変わってしまい、きっと私は正確な時間を捉えることの方が少ないと思います。正確でないというのは、言い替えると時計の秒針を基準に私が自分の捉えた世界を修正して生きているからです。私の感じる時間、カメラが捉える時間、見える時間と見えない時間、視覚でどこまで捉えられるのか、時間と対峙してみます。
石場文子
■人の存在を探る制作をしている。粘土等を素材に作った上から布を巻き付け、絵具でペインティングを施すことで人物像を制作している。像から画布を引き剥がすことで立体から平面に戻す、引き剥がして残った構造を作品として用いる等、制作の最中に象に対するアプローチをその都度変化させている。人の存在を平面と立体、内側と外側、現実とイメージ等の相反することの行き来の中で模索し捉え切る事の出来ない人の存在を確かなものとして残していく。
辻響己
清野賀子|Yoshiko Seino
1962
東京都生まれ
1987
中央公論社に入社『マリー・クレール』誌の編集者として活動
1995年頃より写真を撮り始める。
個展
2008
「a good day,good time」ギャラリーTRAX、山梨/プンクトゥム・フォトグラフィクス 、東京
2003
「The Sign of Life」ヴィンタートゥーア写真美術館、ヴィンタートゥーア
1999
「Emotional imprinting」ギャラリー小柳、東京
1996
「Yoshiko Seino with Switch」コム・デ・ギャルソン本店、東京
グループ展
2016
「無名都市 ~現代の写真に見る匿名の風景」横浜美術館コレクション展
2007
「Towards a New Ease」ヴィンタートゥーア写真美術館、スイス
2004
「コモン・スケープ-今日の写真における日常へのまなざし」宮城県美術館、仙台
2003
「Japan: Contemporary Ceramics and Photography: Tradition and Presence」ダイヒトアホール、ハンブルク
2001
「Surface:Contemporary Photography,Video and Painting from Japam」オランダ写真センター、ロッテルダム
2000
「Sensitive」カオール写真祭、「反記憶-現代写真Ⅱ」 横浜美術館
1998
「Gel」ダメリオ・テラス、ニューヨーク
写真集
2002
「The Sign of Life」オシリス
2009
「至るところで 心を集めよ 立っていよ」オシリス
作品収蔵 横浜美術館
石場文子|Ayako Ishiba
1991
兵庫県生まれ
2014
京都嵯峨芸術大学造形学科版画分野 卒業
2016
愛知県立芸術大学大学院美術研究科 修了
現在、兵庫県在住。
個展
2023
「視点の位置 」MIAKI Gallery(東京)
2022
「Shuttle Run 2022」ARTDYNE(東京)
2021
「不在(ない)と存在(ある)」3331 Arts Chiyoda(東京)
2020
「zip_記号と静物」Gallery PARC(京都)
2019
「次元のあいだ」児玉画廊(東京)
2018
「たかが日々」山下ビル(愛知)
2017
「2.5」KUNST ARZT(京都)
2015
「しかく-Square/Sight/Blind spot-」KUNST ARZT(京都)
2013
「house」KUNST ARZT(京都)
グループ展
2022
「感性の遊び場」ANB Tokyo(東京)
2021
「Real by Art Sticker」代官山ヒルサイドフォーラム(東京)
2021
「コンテンポラリーアートへの扉」三越日本橋店(東京)
「現れの形象」ARTDYNE(東京)
2019
「さっぽろアートステージ 2019 ART STREET 美術展『まなざしのスキップ』」札幌文化芸術交流センターSCARTS(北海道
「ignore your perspective 52『思考のリアル/Speculation ⇄ Real』」児玉画廊(東京)
「LUMIX MEETS BEYOND2020 BY JAPANESE PHOTOGRAPHERS #7」 IMA Gallery (東京)/ Gashouders(アムステルダム)/ (パリ)
「あいちトリエンナーレ 情の時代」愛知県美術館
「IMA×Edition “STYLED IN PHOTOGRAPHY” vol.1 「写真を着る、言葉を纏う~フォトグ ラファーと言葉によるTシャツコラボレーション~」 IMA gallery(東京)
「VOCA2019―新しい平面の作家たち」上野の森美術館(東京)
2018
「Pop-up Dimension 次元が壊れて漂う物体」児玉画廊(東京)
「メソッドの考察」愛知県立芸術大学学食2次元(愛知)
「不透明なメディウムが透明になる時」電気文化会館(愛知)石場文子・守本奈央
「立てる」masayoshi suzuki gallery(愛知)石場文子・守本奈央
「写真的曖昧」金沢アートグミ(石川)
受賞
2019
「VOCA2019―新しい平面の作家たち」 奨励賞
作品収蔵 愛知県美術館
辻響己|Hibiki Tsuji
1997
三重県生まれ
2020
東京造形大学造形学部美術学科絵画専攻 卒業
2022
東京造形大学大学院造形研究科美術専攻領域 終了
現在、東京都在住
個展
2019
remain (room412/東京)
グループ展
2022
ZOKEI展(東京造形大学/東京)
「ひとりとひとりの間に 古川諒子・辻響己二人展」(ARTDYNE/東京)
2021
「体の空間と引力」展(ZOKEIギャラリー/東京)
2020
東京五美術大学連合卒業・終了制作展(国立新美術館/東京)
2020
ZOKEI展(東京造形大学/東京)
2019
はらのむし(ZOKEIギャラリー/東京)
2018
ing (csキャラリー/東京)
受賞
2022
ZOKEI賞 ノミネート
2020
ZOKEI賞 受賞
2018
Liqtex THE CHALLENGE 入賞