髙木優希個展「常夜灯」
2024.06.08 – 2024.06.30
この度、ARTDYNEは2024年6月8日(土)- 6月30日(日)まで、髙木優希個展「常夜灯」を開催いたします。
髙木優希は1994年福島生まれ。2021年に東京藝術大学絵画科油画専攻を卒業後、2024年3月に東京藝術大学大学院美術研究科修士課程を修了。現在は東京を拠点として制作を行っています。
髙木は知人や親しい人が撮影した、撮影者が実際に住まう屋内の光景を画像で受取り、それを題材にしたマケットを作ります。そしてそのマケットを注意深く撮影し、画面に切り取ったものを基に、油彩画を制作します。髙木の行う複数の制作工程は、あたかも伝言ゲームのように実物から何層かのずれを生じさせ、結果的に作品にリアルとバーチャルの両側面を付与することとなります。つい先ほどまでそこに人が居たかのような独特の湿度を持った画面は、不在の中に見える「存在」を知覚させ、畏れにも似た不思議な感情を鑑賞者に起こさせます。
今展のタイトル「常夜灯」はほんのりとした灯りが照らし出すどこか寂しげな部屋に在る、光と影を司る存在として示されています。ホラー映画を好む髙木は作品を通し、日常の風景に横たわる不穏さや不安定な感情の呼び起こしを繰り返し試みてきました。さらに昨年から始まった円や楕円の画面を採用したシリーズの作品は、覗き窓を見るかのような後ろめたさを鑑賞者に与え、暗い感情をもうひとつ追加させます。
今展では、大学院修了展で発表した150号の大作および、新作7点余りで構成されます。この機会にぜひご高覧、ご高評いただけますよう、よろしくお願いいたします。
アーティスト・ステートメント
私は、制作する上で3つのプロセスを踏んでいる。
まず、他人の部屋の写真を元にスチレンボードや紙粘土を使った模型を作ること。
これは、実在する部屋に存在する生活感や人が住んでいた痕跡を可能な限り排除してフィクションの世界を作るため。
次に、作った模型にさまざまな光を当て写真を撮ること。これは、誰も住み得ないただのチープな模型から人の気配を探し、存在しない何かを可視化するため。
最後に、その写真を絵画に描き換えること。
この三つのプロセスを経て、何も存在しないはずの空間に在る不思議で違和感のある「何か」を示唆することが私の制作の軸になっている。たとえば、ホラー映画において幽霊が画面上に存在していないのに強く恐怖を感じるように。または、部屋に一人でいるときに背後に気配を感じ思わず振り返ってしまう時のように。私の作品の中に在る目に見えない「何か」の気配を感じ取って欲しい。
髙木優希
髙木優希|Yuki Takagi
1994年
福島県生まれ
2021年
東京芸術大学絵画科油画専攻卒業
2024年
東京藝術大学大学院 美術研究科 修士課程 修了
個展
2023年
「あかるいへや」ARTDYNE/東京
2021年
「ゆうれいのいないところで」ARTDYNE/東京
2020年
「あの日のすみか」MEDEL GALLERY SHU/東京
グループ展
2023年
「INNOCENT ROOMS」ギャラリー・アートアンリミテッド/東京
2022年
「鳥はいまどこを飛ぶか」プライベイト/東京
2021年
「3331 ART FAIR 2021」ARTDYNE/東京
2020年
「Spring Show」ARTDYNE/東京
2019年
「上書きされた風景」MEDEL GALLERY SHU/東京
開廊記念2人展「尾黒久美・髙木優希展」/ARTDYNE/東京
2018年
「東京インディペンデント」/東京藝術大学陳列館/東京
「ゆがいたかいがおいしい?」/gallery i /東京